動画編集中にパソコンの動作が重くなり、作業が進まない…イライラする…
わかります。
解決策として一番手っ取り早いのはパソコンを買い替えることですが、安いものではないのでなかなかそうもいきません。
まさに今編集中で、すぐに解決したいという方はまずは以下のことを試してみてください。
それぞれの詳しい説明は後ほどします。
まずやってみること
- 不要なバックグラウンドアプリを終了する。
- メディアキャッシュや一時ファイルの削除。
- プレビュー解像度を下げる。
- 外部ストレージやクラウドストレージを活用
- プロキシを使用する
この記事では、上記のようにPremiere Proを含むすべての動画編集ソフトに対応できる「パソコンの動作を軽くする対策集」を紹介します。パソコンを買い替えずにできる簡単な対策から、必要に応じたアップグレードまで、快適な編集環境を手に入れるための方法を丁寧に解説します。
まずはパソコンが重くなる原因を知ろう
まず、パソコンが重くなる原因を理解することが重要です。動画編集はパソコンにとって非常に負荷が高い作業で、以下の要因が重なって処理速度が低下します。
- CPU負荷の上昇
動画編集は、高解像度の映像やエフェクトの処理において、CPUに大きな負担をかけます。特にエフェクトやカラーグレーディングを多用すると、CPUの使用率が上がり、パフォーマンスが低下します。 - メモリ不足
動画編集ソフトは多くのメモリを消費します。特に、大容量の動画ファイルを扱う場合や、複数のアプリケーションを同時に開くとメモリが不足し、動作が遅くなる原因となります。 - ストレージの断片化
HDDやSSDの容量不足は、データの読み書き速度を低下させます。特にHDDの場合、断片化が進むと処理速度が著しく低下します。 - GPUの不足
高解像度のプレビューや複雑なレンダリングでは、GPU(グラフィックカード)の性能が重要です。GPUが不足していると、プレビューが遅れたり、レンダリングに時間がかかることがあります。
用語説明
- CPU:中央処理装置。パソコン全体の処理を行うため、動画編集の際には特に高負荷がかかる。
- メモリ:パソコンが作業をするための一時的なデータ保存領域。メモリが不足すると動作が遅くなる。
- ストレージの断片化:データがハードディスク内にバラバラに保存され、アクセス速度が低下すること。
- GPU:グラフィックカード。映像や画像の処理を行う専用チップで、特に高解像度の動画編集で重要。
まずは試したい!パソコンの動作を軽くする簡単な対策
パソコンを買い替えなくても、設定や使い方を工夫するだけで、動画編集のパフォーマンスを大きく改善できることがあります。以下の方法を試して、パソコンの動作を軽くしましょう。
不要なバックグラウンドアプリを終了する
動画編集ソフト以外のアプリがバックグラウンドで動作していると、パソコンのリソースが分散され、処理速度が低下します。特に、ブラウザや音楽ストリーミングアプリ、メールクライアントはバックグラウンドで多くのメモリを消費するため、編集中はこれらのアプリを終了させましょう。
メディアキャッシュや一時ファイルの削除
動画編集ソフトは、作業の効率を上げるためにメディアキャッシュを生成しますが、長時間使用するとキャッシュが溜まりすぎて逆に動作が遅くなります。どの編集ソフトにも環境設定からメディアキャッシュや一時ファイルを削除できます。定期的に削除して、パフォーマンスを向上させましょう。
プレビュー解像度を下げる
高解像度の映像を編集する場合、プレビューの解像度を下げることで処理負荷を軽減し、動作をスムーズにすることができます。作業中のプレビュー解像度を低く設定しても、最終出力には影響がありません。Premiere Proではプレビューパネル右下のドロップダウンメニューで解像度を調整できます。DaVinci ResolveやFinal Cut Proでも同様の設定があります。
外部ストレージやクラウドストレージを活用
パソコンのローカルディスクの容量が不足していると、動画ファイルの読み書き速度が低下します。大容量ファイルは外付けSSDやクラウドストレージを活用して保存し、ローカルストレージを空けましょう。特にSSDはHDDよりも高速なので、外部ストレージにSSDを使うと効果的です。
プロキシを使用する
高解像度の映像を直接編集する場合、プロキシを使うことで、軽いファイルを使って編集作業を行い、最終出力時に高解像度のファイルを適用できます。
Premiere Pro
プロキシを使う設定は、プロジェクトのインポート時に自動でプロキシを作成し、簡単に切り替えることが可能です。
DaVinci Resolve
Optimized Mediaを使い、軽いファイルで作業ができます。
Final Cut Pro
Proxiesを利用して、作業中に軽いファイルを使用し、高解像度で出力します。
用語説明
- メディアキャッシュ:動画編集ソフトが効率を上げるために一時的に保存するデータ。キャッシュが溜まると動作が遅くなることがある。
- プレビュー解像度:動画編集ソフトで編集中に表示される映像の解像度。低解像度にすると動作が軽くなる。
- プロキシ:高解像度の映像を編集しやすくするために、低解像度の軽いコピーを使用する技術。
それでも改善しない場合の対策:パソコンのアップグレード
上記の対策を試しても、十分な改善が見られない場合は、ハードウェアのアップグレードを検討する必要があります。動画編集は、特に高解像度や複雑なエフェクトを使用するプロジェクトでは、パソコンのパワーを要求する作業です。ここでは、効果的なアップグレード方法を紹介します。
メモリの増設
動画編集ソフトがスムーズに動作するためには、十分なメモリ(RAM)が必要です。編集中のクリップの解像度が高くなればなるほど、多くのメモリが必要になります。最低でも16GBのメモリが推奨されますが、4Kや8Kなどの高解像度の映像や複雑なプロジェクトを編集する場合は、32GB以上が理想的です。メモリの増設は、比較的手軽にできるアップグレードであり、即効性が高いです。
SSDへの換装
もしパソコンにHDD(ハードディスクドライブ)が搭載されている場合、SSD(ソリッドステートドライブ)に換装するだけで、ファイルの読み書き速度が大幅に向上します。SSDはHDDに比べて数倍速いため、大容量の動画ファイルを扱う際に特に効果を発揮します。読み込みや保存の時間が短縮されるため、作業がスムーズに進むようになります。特に、NVMe SSDを選択すれば、さらに高速な読み書き速度が期待できます。
グラフィックカードのアップグレード
動画編集のパフォーマンスは、CPUとメモリだけでなく、GPU(グラフィックカード)にも大きく依存します。特に、4Kや8Kの高解像度の映像編集や、エフェクトのレンダリング、カラーグレーディングを行う際には、GPUが非常に重要です。最新のグラフィックカードを搭載することで、プレビューの遅延が減少し、最終レンダリングの時間も大幅に短縮されます。動画編集ソフトの多くが、GPUの性能を活用するように設計されていますので、GPUのアップグレードは効果的な投資です。
用語説明
- SSD:ソリッドステートドライブ。HDDよりも高速なデータ記憶装置で、パソコンの動作速度を大幅に向上させる。
- NVMe SSD:従来のSSDよりもさらに高速なインターフェースを使用したSSD。特に大容量ファイルの読み書きに適している。
パソコンをアップグレードした後でも気を付けたいこと
ハードウェアをアップグレードした後でも、パソコンのパフォーマンスを最大限に引き出すためには、定期的なメンテナンスや最適化が必要です。以下のポイントに気をつけることで、快適な編集環境を長く保つことができます。
ソフトウェアの最適化
編集ソフトは常に最新バージョンを使用することが重要です。
ソフトウェアのアップデートでは、パフォーマンスの改善やバグの修正が行われるため、最新バージョンにしておくことで、ハードウェアの性能を最大限に活かすことができます。また、使っていないプラグインやエフェクトは、ソフトウェアの動作を重くする原因となるため、不要なものは削除しましょう。
ストレージの管理
SSDを使っている場合でも、ストレージの管理は非常に重要です。ストレージがいっぱいになると、動作が重くなる可能性があります。定期的に不要なファイルや一時ファイルを削除し、キャッシュのクリアも忘れずに行いましょう。
また、外付けSSDやクラウドストレージを利用して、作業スペースを確保することも一つの方法です。
ハードウェアアクセラレーションの活用
ほとんどの動画編集ソフトは、GPU(グラフィックカード)を使用して処理速度を向上させる「ハードウェアアクセラレーション」をサポートしています。この機能を有効にすることで、プレビューやレンダリングのスピードが大幅にアップします。Premiere ProやDaVinci Resolveなど、多くのプロフェッショナルな編集ソフトが、この機能を活用するよう設計されています。ソフトウェアの設定メニューで「ハードウェアアクセラレーション」を確認し、有効になっているか確認しましょう。
冷却システムの管理
動画編集は非常に負荷の高い作業であり、長時間の作業を行うとパソコンの温度が上昇することがあります。パソコンの温度が高すぎると、パフォーマンスが低下したり、システムが不安定になることがあります。定期的に冷却ファンや内部のほこりを清掃し、温度管理を行いましょう。また、外部の冷却パッドやクーリングファンを使用するのも有効です。
用語説明
- ハードウェアアクセラレーション:GPUなどの専用ハードウェアを使って、ソフトウェアの処理を高速化する技術。動画編集のプレビューやレンダリングが速くなる。
Premiere Proで快適に作業するための最適な環境
Premiere Proは、GPUを活用して処理を高速化する「ハードウェアアクセラレーション」や、プロキシ編集などの機能を備えており、他の動画編集ソフトよりも効率的に作業を進められます。
以下は、Premiere Proで快適に作業を進めるためのポイントです。
- ハードウェアアクセラレーションの活用
Premiere Proは、GPUを使用して処理を高速化するため、プレビューやレンダリングの時間が短縮されます。特に、ハードウェアをアップグレードした後には、GPUをフル活用して作業効率を最大化することができます。 - プロキシ機能の使用
高解像度の映像を編集する際に、プロキシを使用することで、動作を軽くし、快適に編集作業を進めることができます。Premiere Proのプロキシ機能は、元の高解像度の映像と低解像度のプロキシを簡単に切り替えながら作業できるため、スムーズな編集が可能です。 - Adobeの統合環境
Premiere Proは、After EffectsやAuditionなど、Adobe製品との連携が非常に強力です。これにより、エフェクト作業や音声処理など、複数のソフトを使った作業がスムーズに行えます。Adobeの統合環境を活用することで、作業効率がさらに向上します。
用語説明
- プロキシ編集:軽量のプロキシファイルを使って編集を行い、最終的に高解像度の元データで出力する作業方法。
まとめ:快適な動画編集を実現するために
動画編集が重くなる原因と、その対策について詳しく解説しました。パソコンを買い替えずにできる簡単な方法から、必要に応じてハードウェアをアップグレードする方法まで、多くの選択肢があります。特に、Premiere Proはハードウェアアクセラレーションやプロキシ機能を備えており、他のソフトよりもスムーズな編集作業を実現できます。もし、まだPremiere Proを使っていない方は、Adobeの無料トライアルを試して、その快適さを実感してみてください!
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